賃貸集合住宅の相続を経験して
敷地面積 89m2
延床面積 255m2
鉄筋コンクリート壁式構造
地上4階建て
11住戸
きっかけ
祖母が亡くなり、相続した母が土地活用として賃貸集合住宅事業を行う事となりました。
その頃の私は大学を卒業したばかりで、建築家を目指して先生も元で見習いをしており、免許はおろか実務経験は全くありませんでしたが、確認申請と実施設計は他の方にお願いして、基本設計をさせてもらえる事となったのです。
バブル絶好調
計画当時は既にバブル経済が崩壊していたのですが、建築関係は波が遅れてくるため建設費は高値のまま、長期的な不景気が訪れるとは思いもせず、事業費削減よりも最新のオートロックやタイル・ステンレスと耐久性を優先した贅沢な仕様となり、現在の価格より3割も高い価格となってしまいました。
それでも、入居も順調で狭い部屋なのに、高い家賃のまま順調な賃貸経営だったのです。
相続
その後、母が病で亡くなり相続となりましたが、高い建設費で借金も膨大にあったため、税金の心配はありませんでした。
途中で大和銀行からりそな銀行へと名前は変わりましたが、金利は3%と高金利のままでした。
家賃
当初は母の高額な治療費をまかない相続後も順調な経営でしたが、不景気が続き近隣には安価な建設コストの賃貸集合住宅が建ちはじめるようになると、家賃相場は下がり合わせて値下げを実施せざる得なくなってきました。
さらに、管理を依頼していた不動産屋も空室が2割くらいは仕方ないと開き直るようになり、だんだんと事業としては厳しくなってきました。
想定外の出来事
台風で階段室が雨びたしになったり、ゲリラ豪雨で地下ピット湧水が溢れポンプが漏電してしまうなどの天災による被害もありました。
入居者によっては、冬のガラス結露水をそのままにしたため床が腐ってしまったり、ユニットバスが真っ黒カビだらけであったりと、修繕費の出費も想定外の額です。
不動産管理会社
インターネットの普及により、賃貸募集形態も大きく変わってきています。
競合が多いエリアや金額では内覧に至らないケースも少なくありません。
様々な提案を豊かに、地域不動産屋への協力依頼をフットワーク軽く動いてくれる管理会社でないと、空室の不安は拭えません。
考え方
賃貸集合住宅経営の利回りは、株や仮想通貨などに比べるととても小さなものです。
ただ、火災や地震が起きたとしてもゼロになる事はありません(保険などは必要)。
不景気になっても、毎月必ず家賃収益は上がります。
相続時に土地を売却して現金にしても、いっときは大きなお金が入りますが税金も大きく取られてしまいます。
借金を作り相続税を回避して、長期に渡りその分を家賃として回収し、返済が終われば家賃は大きな可処分所得となっています。
失敗を糧に
自身で相続、賃貸経営、維持管理をしてみると、建築士の立場だけでは気づかなかった失敗も高い授業料として多くを経験できました。
皆様には失敗を取り除いた部分のみを提供できるようになりました。
事業の借金は小さくはありませんが、何もしないと相続税で取られてしまうのであれば、リスクの低い確実な方法で事業として考えてみてはいかがでしょうか。