□ 職能分離の原点(監理業務) □
設計事務所の最も大切な業務の一つに「監理業務」があります。これは、契約した設計図書(設計図面+見積書)の内容どおりに、安全基準(建築基準法、消防法、建築工事共通仕様書など)に準拠して施工されているか、建物を監理するものです。設計者にとって、施主にとっても、施工者はパートナーなのですが、品質管理のために疑う事を前提としたシステムです。
スーパーゼネコンを筆頭に、設計施工が当然のように行われていますが、本当に大丈夫なのでしょうか。
当たり前ですが、施工会社は工事現場から収益を上げています。同じ社内にいる設計部社員の給料を、現場が稼いでいるのです。設計部は工期を遅らせるような指示を、品質管理のために下せるのでしょうか? 昨今は企業倫理が確立されているため、膨大な債務返済よりも品質確保が優先されているに決まっていますよネ?
また、契約による施工者に義務付けられた検査報告書提出がありますが、第三者機関に依頼しなくてはなりません。しかし、発注者は施工者なのです(施工者が工事請け負い金額から検査機関に報酬を支払う)。施主や設計者ではありません。
話は戻って、施工者にとって工期内竣工は絶対条件です。そのため、多少の雨天でもコンクリート打設をしたり、工程が狂うと帳尻合わせを行ったりと、限度内であれば品質低下も仕方ないと・・・現場主任(監督)も社員ですし、そんな考えを持っても当然だと思いますが、いかがでしょう。
施工とひと口に表現しても、土工事・地業工事・鉄筋工事・コンクリート工事・鉄骨工事・防水工事・タイル工事・木工事・屋根工事・左官工事・建具工事・塗装工事・内装工事・・・電気工事・設備工事・・・と非常に様々な業種から成立しています。
これらの全てを意匠設計事務所(弊社)だけで監理するのは困難です。そのため、構造分野はパートナーの構造設計事務所へ、設備であればパートナーの設備設計事務所へと、それぞれのスペシャリストへ設計+監理を委託しています。工事が始まれば現場の定例会議へ出席していただき、特別な検査日にも必ず立ち会っていただきます。
このように『職能分離の原点』に立ち返り、設計+監理と施工とを分けることで初めて品質管理ができると考えています。また、昨今では設計者に問題がある事件もありますが、施工者が設計者を発注する形態になってしまった点に原因の一端があるように感じます。ここでも、施主から設計者と施工者をそれぞれ発注することで、対等に職と能とを発揮できる仕組みを活用すべきではないでしょうか。

